出典:ピースボード(PEACE BOAT)旅行企画公式サイト
新型コロナウィルスの影響で世界一周クルーズ旅行として有名な『ピースボード(PEACE BOAT)』が、予約客との間でキャンセル料金の返金を巡って対立しています。
ピースボードはNGO組織じゃないの?と思う方もいるかもしれませんが、今回問題となっているのはピースボードの世界一周クルーズを企画運営する「ジャパングレイス」という会社です。
ピースボードとは?
ピースボードを運営しているのはNGO(非政府組織)です。
ピースボードの理念
「みんなが主役で船を出す」を合言葉に老若男女問わず多くの人が世界中の船旅に参加しています。
様々国や地域に船で出向き直接人と人が交流する場を提供しています。
ピースボードが目指すものは、「船旅を通じて国と国との利害関係とちがった草の根のつながりを創り、地球市民の一人として、平和の文化を築いていくこと」です。
ピースボードの運営とスタッフ
ピースボードには特定の代表者は存在せず、運営は「責任パートナー」と呼ばれる複数の共同代表と、専従スタッフ、そしてボランティアスタッフによって行われています。
ピースボードは国際NGOとしての取り組みも盛んで、貧困や震災で苦しむ国や地域の支援や、自然破壊に対する活動、平和の大切さを伝える活動などを行っています。
2017年には、ピースボートが国際運営団体を務める核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)が、ノーベル平和賞を受賞しています。
ピースボードの船旅を企画運営する「ジャパングレイス」とは?
1995年からNGOピースボートの企画クルーズを主催旅行社として主催している会社です。
「地球一周の船旅」をはじめ、アジアなどで行うショートクルーズを含めたクルーズにおける業務全般を行っています。
日本人で客としてピースボードの世界一周クルーズなどに参加する人は基本的にジャパングレイスから申し込むことになります。
問題になっている争点とは?
2020年4月に出向予定だったピースボードの世界一周クルーズが、新型コロナウィルスの影響で中止になりました。
その影響で、ピースボードを企画運営する「ジャパングレイス」と世界一周クルーズに参加する予定だった客との間でキャンセル料の返金についてトラブルが起きています。
ジャパングレイスは旅行業約款で、旅行開始前にキャンセルが決まった場合は「翌日から7日以内に払い戻す」としていますが、客には3年間の分割払いを提案しています。
この対応に対し客側は納得いっておらず、日本旅行業協会に対して苦情が相次いでいる状況です。
その結果、返金問題について観光庁がジャパングレイスに対し、約款通りに客に返金をするように行政指導するに至っています。
ジャパングレイスが3年間36回払いを提案した理由は?
そもそも、なぜジャパングレイスは約款通りの返金ではなく3年間36回払いの分割払いを提案したのでしょうか?
当初は4月に入ってキャンセル手続きした客は7月までの全額返金される見込みだったそうです。
あくまで推測ですが、新型コロナウィルスの影響もあり、会社の資金繰りが厳しく手元に返金するための現金が残っていないのでしょう!
ジャパングレイスが返金前に倒産したらどうなる?
実際に返金と倒産について、ピースボードの世界一周クルーズに申し込んでいた客がジャパングレイスに問い合わせをしたそうです。
その結果、返金される前に会社が倒産した場合はお金は返ってこない!と回答されたようです。
具体的には、「倒産した場合は、債権者は残った債権をみんなで分け合う対応になると思います」というような返答だったとのこと。
「みらい乗車券」への振り替えも可能?
客からの預り金を1.3倍のポイントに換算できる「みらい乗車券」に振り替えることも可能とのことですので、現金の返金を求めていない方は、こちらの手段も検討可能です。
また、みらい乗車券の新設プランという案もあり、預り金の一部が現金で分割払いによって返金され、残りをポイントに換算するような仕組みです。
行政指導によって一括返金されるようになるのか?
ジャパングレイスは旅行業約款で、旅行開始前にキャンセルが決まった場合は「翌日から7日以内に払い戻す」としているため、観光庁が行政指導を行っていますが、どうなるかは現時点ではっきりしていません。
どうしても約款通りの返金ができない場合は「営業補償制度」を利用して供託している営業保証金から客に返金するようにと指導がされているようです。
しかし、「営業補償制度」を利用しても供託している金額は数千万円程度ということで、客の全員に一括返金することは非常に難しいと予想できます。
ジャパングレイスが金融機関などからの借り入れや政府からの補助金や給付金などを獲得して、今後新たに対応をすることを期待するしかありません。
まとめ
ピースボードでの世界一周クルーズは私たち家族も一度は検討したことがあり、非常に魅力的な旅だと思います。
今回のようなトラブルになってしまっていることは残念ですが、きちんと対応して上手く乗り切ってほしいです。
新型コロナウィルスの影響は誰も予測できなかったことなので、事業者側も可哀そうな部分もありますが、客側からすると納得できない状況なのもわかります。
約款には新型コロナウィルスのような危機については記載がないと思いますので、休業している企業に対して給付金や融資を積極的に行っているように、ジャパングレイスに対しても政府が積極的に支援して問題を解決する手助けをすると穏便に行くのかもしれませんね!
せっかくの旅行計画が嫌な思い出にならないように、会社の客も納得できる内容で折り合ってほしいと願います。