今回の記事では、「新型コロナウィルスの感染拡大により今後人口が少ない地方へ移住する人が増えるのか?」というテーマについて考察してみたいと思います。
緊急事態宣言が出る少し前から東京などの大都市から帰省する人や、地方へ避難する人が続出しているという報道を見たことがある人も多いと思います。
現時点ではこのような移動は政府からも自粛するように要請が出ており抑制されてきたと思いますが、緊急事態宣言が解除された後、少し状況が落ち着いて来た場合、人の流れはどのようになっていくでしょうか?
中長期的な視点でみて「afterコロナ」と呼ばれる時代に突入した際には人々の生活が元の生活とは違う新しいものに進化していくのかを考えてみたいと思います。
地方移住(田舎暮らし)が注目される理由
近年日本においては新型コロナウィルス関係なしに「田舎暮らし」や「地方暮らし」、「地方移住」などが注目されてきており、テレビ番組でもこのようなテーマの番組が増え非常に人気があります。
「世界の村で発見!こんなところに日本人」が個人的に大好きです!
特に、若い世代において地方移住を考える人が増えてきている状況も見逃せません!
なぜこれほどまでに「地方移住」や「田舎暮らし」が注目されてきているのか、その理由を考えてみたいと思います。
・人間関係が都心とは違い温かみがある(近所づきあいや助け合いの文化がある)
・物価が安い
・自給自足ができる
・満員電車や長時間残業がなく自由な労働環境を獲得できる
・パソコン一台でリモートワーク可能な職種が増えてきた
・移住を推奨、支援している市町村がある
・新型コロナウィルスは「3密」が感染リスクを増すため人口が少ない地方へ避難したい
では、実際にこれらの推測を下に、地方移住を支援する相談窓口を実施している「ふるさと回帰支援センター」のアンケートや統計データなどをみていきたいと思います。
地方移住希望者の統計データ
下記のそれぞれのデータは2018年までのものなので、新型コロナウィルスの影響がない状態でのデータということを事前に理解してみてください。
地方移住希望者の相談件数(2009年~2018年の推移)
⇒近年、地方移住を希望している人がどんどん増えていることがわかります。
地方移住希望者の年代別推移(2008年~2018年の推移)
⇒以前は50代と60代の数が多かったことから「老後の地方移住」を希望している人が多かったと推測できますが、近年は20代と30代の若い世代の数が増えています。
地方移住希望者の出身地の割合(2018年)
⇒関東が最も多く、都道府県別にみると東京や神奈川、大阪、福岡など大都市で暮らしている人が多い傾向にあるとわかります。
地方移住希望者が移住する際に優先する条件(2016年~2018)
⇒自然環境が良いことや物価が安いこと、人間関係が良いことなどの項目ではなく、就労の場があることがダントツの1位の優先条件でした。
そのことがわかる統計データが下記2つです。
地方移住希望者が移住する際に希望する地域類型(2016年~2018年)
地方移住希望者が移住する際に希望する就労形態(2016年~2018年)
⇒上記の「優先条件」や「地域類型」の統計データからもわかるように、地方移住する際に、農村や山村のような完全な田舎というよりもある程度発展している地方都市へ移住し、企業などに就職したい人が多いです。
人気移住先ランキング(2014年~2018年)
⇒長野県、山梨県、静岡県、北海道などが常に人気になっていることがわかります。
年代別人気移住先ランキング(2018)
⇒若い世代と高齢者世代では多少人気に違いはありますが、長野県や静岡県、北海道などがやはり人気の中心になっています。
移住希望者の統計データからわかったこと
実際に2018年までの統計データを見ることによって、本来の「地方移住」の人気の理由や実態を把握することができました。
意外だったのは、「地方移住=田舎暮らし」という認識が実際には完全にリンクしていないということです。
つまり、地方移住希望者の中にはもちろんテレビ番組で特集されるような「田舎暮らし」を希望する人もいますが、地方都市でしっかりと就職して暮らしたい人も多いということです。
また、関東圏をはじめとした大都市から地方移住したい人が多いことから、満員電車や長時間残業、物価の高さや金銭面などの理由から地方に癒されに行きたいと思っている人も多いのではないかと推測できます。
新型コロナウィルス収束後(終息後)は地方移住者は増える?
今後、新型コロナウィルスの影響がかなり色濃く残ると思うので2020年以降に統計データを取った場合はまた違う結果が出るかもしれません。
現在、在宅勤務(リモートワーク)が政府からの要請で進んでいますが、これが定着していけば、企業側も社員も「わざわざオフィスに通勤する必要はない」という考えや文化が根付く可能性もあります。
企業にとっては通勤費などの経費が削減でき、社員からすれば通勤する時間が削減できるため、双方にとってメリットが大きいのでリモートワークが可能であれば推進していくはずです。
もし、このような文化が根付いて行けば、どこにいても仕事ができる状態になる雇用形態もさらに増えていくため、地方に暮らしながら大都市の企業に勤めることも可能になってくるかもしれません。
そうなれば、生活拠点にこだわる必要がなくなり、大都市から地方へ移住する人が増える可能性も十分にあるのではないでしょうか?
まとめ
地方移住や田舎暮らしが注目されていた中で新型コロナウィルスが蔓延したことで、より一層人々が居住地について見つめなおす機会が増えると思います。
大都市は、病院などの施設が整っているという安心面もありますが、人口が多すぎるため新型コロナウィルスのような感染スピードが早いウィルスが流行ると医療機関が逼迫するリスクもはらんでいます。
また、スーパーで食料を購入したり、薬局でマスクを買うだけでも大都市と地方では大きな差があります。
今後、新型コロナウィルスの影響でさらに食糧危機に陥る人が増えていくと言われているため、そこを見越して地方で自給自足を考えている人も一部はいるでしょう。
今は、人の移動が危険な状況なので、新型コロナウィルスが収束し始めて動きが自由になったときに自分がどうするかを一度しっかり考えておくのも良いかもしれません!