みなさんこんにちは。スペイン在中のNSKIです。
12月に入るとクリスマスムードが一気に盛り上がりを見せますが、同時に「(プレゼントや食事代などで)今年はいくら(お金が)飛んでいくんだろう」とマイナスの考えが頭をよぎるのを避けられません(笑)。
今回はスペインの一般的なクリスマス+カタルーニャ地方のちょっと変わったクリスマスのお話です。
スペインのクリスマス準備期間
どこの街でもハロウィンの少し前から、クリスマスのイルミネーションの取り付け作業が始まります。
11月に入る頃には細い路地も含め、街中がクリスマス一色に染まります。
クリスマスの一月前からイルミネーションに灯がともって、徐々にクリスマスムードが高まりを見せ、。12月には各地でクリスマスマーケットが開かれて、大きな街はもちろん小さい村も華やかな雰囲気に包まれます。
クリスマスの食卓
12月24日の夜と25日の昼は、1年で最も重要な食事をとる日と言っても過言ではないでしょう。
クリスマスといえば、家族親戚総勢20名~30名が集まって食卓を囲むのが当たり前(これ、日本人にはかなり抵抗ありますが)、ホストはメニューを考えるのに余念がありません。
クリスマスシーズンの食材価格はぼったくり?
通常ローストチキンやシーフード、スペインらしくイベリコ豚の生ハムやチョリソなどが並ぶのですが、12月に入るとこういった食卓を飾る食材は週ごとに価格が右肩上がり!
特にシーフードなんかは「これぼったくりでしょう!」と言いたくなるほど価格上昇が激しいんです(完全に足元見てます)。
だから賢い主婦(夫)は、11月後半から少しずつ料理を作って冷凍しておきます。
でもそれができないケースも多々あって、クリスマス直前の週末にスーパーの大きなカート2台分ぐらいの買い物をしている人も珍しくありません(レジでそういう人の後ろについてしまった時は、貧乏くじを引いたと諦めます)。
そもそも集まる人数が人数なので、買い物の量も半端なくすごいです。
生ハム2キロ、チキン5キロ、赤白ワインにシャンパンなど合わせて15本…..という感じです。
ケーキの代わりにドライフルーツやチョコレート
日本では11月頃からテレビのCMなどでも盛んにクリスマスケーキの予約受付を叫んでいますね。
お隣フランスではブッシュドノエルが、イタリアではパネットーネがクリスマスケーキの代表ですが、スペインにはクリスマスケーキと呼ばれるものはありません。
代わりにドライフルーツ、チョコレート、そしてトゥロンやマンテカドというアーモンドをたくさん使った伝統的なお菓子でしめくくります。
最近では体重が気になる人や、高血圧・糖尿病の人向けに糖質0のトゥロンやチョコレートも出てきましたよ(笑)。
パパノエル(サンタ)の来る家と来ない家
12月24日の夜はいい子たちの元にサンタがやって来ますよね。
ところがスペインではパパノエル(サンタ)が来る家と来ない家があるんです!
煙突がないからとか、いい子にしていなかったからとかそんな理由ではなく、スペインでは昔からクリスマスのプレゼントは「東方三賢人(聖書の中で、星の導きによってイエスの誕生をお祝いにやってきたとされる3人の賢者)」が1月5日の夜に持って来るとされています。
だから1月5日の夜はどこの家にも東方三賢人(スペイン語ではレイェス)がプレゼントを置いて行ってくれますが、パパノエルは来る家と来ない家があります。
学校は冬休みなので、子供同士「うちには来た」「うちは来なかった」とコメントしあうことはないのが幸いですね。
「カガ」って?
サンタのいないクリスマスってピンときませんよね。
でもバルセロナのあるカタルーニャ地方には、パパノエル(サンタ)の代わりに「カガティオ」というちょっと変わった風習があります。
丸太から出てくるものの正体とは!?
結論から言うと「カガティオ」とは、太い丸太に顔を描いて赤い帽子をかぶせたお人形。
カガはスペイン語でウ〇チするという動詞、ティオは叔父さんや(口語的に)男の人を指します。
ただの丸太人形が何故にそんな衝撃的な名前かというと…..
クリスマスツリーの横に置かれたカガティオくん、クリスマスの2週間ぐらい前から木の実やバナナ、ミカンなどの「エサ」をもらってたくさん食べます。
毎日お腹いっぱい美味しいものを食べ続けたカガティオくんは、12月24日の夜に大きな毛布で体を覆われます。
そこへ夕食が済んだ子供たちが木の棒を持ってやってきて、代わる代わる毛布の上から背中を叩きます。
この時歌をうたうのですが、その歌詞の一部はこんな感じです。
カガティオ、ウ〇チしたいなら手伝ってあげるよ
この棒で叩いてあげるよ、強く、強く、強く…..
子供たちに促されて(?)カガティオくんは毛布の下にいっぱい出してくれます。
毛布をめくると、お菓子や小物などがわんさか現れるので子供たちは大喜び。
プレゼントの出てくる過程はともかくとして、サンタのように寝ている間にやって来る訪問者と違い、小さい子たちにとってカガティオはもっと身近に感じることのできる存在ですよ。
街の片隅に置かれたちょっと変わったお人形
クリスマスの風物詩の一つに、イエス誕生や先にお話した東方三賢人の訪問などを再現した「ベレン人形(もしくはぺセブレス)」と呼ばれるものがあります。
どこの街でも12月に入るとこのベレン人形が市役所前の広場や市民センター、教会などに登場します。
ミニチュアで1つの街を再現したものもあり、水瓶を頭に乗せて歩く女性やパン職人が釜でパンを焼く様子、羊飼いが羊を追い立てる様子など細かい描写があって見ていて飽きません。
そんな街の片隅―傍観者からは少し見えにくい場所―に、「カガネー」と名付けられた一体の人形が置かれています。
お尻を出してかがんだ体勢のこの人形、名前の持つ意味はカガティオくんとほぼ同じです。
でもそれとクリスマスと何の関係があるの?
と思う方がほとんどでしょう(笑)。
カガネーが生まれた背景
生まれた背景には、カタルーニャの農業や牧畜業が関わっています。
現在でもカタルーニャ内陸部では農業が盛んで、多くの農作物が収穫されて市場に出回ります。
フランス国境に近いピレネー山脈一帯では広く牧畜が行われ、良質のチーズやバターなどが作られています。
そういった田畑や牧草地の肥料といえば、一昔前は家畜の糞でした。
また広大な土地にトイレなどあるはずもなく、人も家畜も関係なく畑の肥料作りに貢献しました。
そんな自然の摂理と、翌年の豊作を祈願してこのカガネー人形が生まれたそうです。
まとめ
従来のカガネー人形は、白いシャツに黒のズボン、頭には赤い帽子をかぶっています(カガティオもかぶっている赤い帽子は、カタルーニャ地方に昔からある帽子です)。
ところが近年、その年の有名人がしばしばモデルになることがあります。
スペインの首相やサッカー選手はもちろんのこと、各国の首相や大統領、ハリウッドスターなどモデルはさまざま。
その年の有名人になったのは誇らしいことですが、カガネー人形のモデルに起用されることに関してはどうなんでしょう?やはり誇りに思うべきなのでしょうか??