こんにちは、ドイツ在住ライターのK-Mullerです。
今回はドイツの食文化について紹介したいと思います。
ドイツ人が普段食べるものを想像してください、と言われたらどんなものを思い浮かべますか?
ドイツといえばビール!
ドイツでは安いというのもありますが、ドイツ人は水の代わりにビールを頼むほどビール好き。
そのビールと一緒に食べるのはもちろん、おいしい肉料理!
というわけでは実はないのです。
冷たい夕食と暖かい昼食
家族で囲む冷たい食事 カルテス・エッセン(Kaltes Essen)
みなさんは家で家族と夕食をとるとき、どのような料理を食べますか?
和食・洋食・中華などその日によって献立は変わってくると思いますが、基本的には主食(お米・パン・パスタ)があって、おかずがあって、料理上手な方なら2,3品副菜があったり、みそ汁やスープがあったり。
1人暮らしだと質素に終わることも多いですが、家族で食べる場合、夕食は1日の中でも割と豪勢なメニューになることが多いかと思います。
所変わってドイツのドイツ人家庭の夕食はというと・・・・
ドイツパン
バター
ハム
チーズ
付け合わせでオリーブやトマト(あったりなかったり)
なんとこれが普通。
これにプラスしてスモークサーモンや、サラミ、簡単なサラダが用意されることも。
基本的には並べるだけですむ、朝食のような夕食が並びます
火を通していない食事なので
Kalt:冷たい
Essen:食事
を組み合わせて、
Kaltes Essen カルテス・エッセン(冷たい食事)
と呼ばれたりします。
もちろんパーティーや、ゲストを招いたりするときは、御馳走がでてきますよ!
ちなみに朝食もこのカルテスエッセンのようなメニューが一般的です。
暖かい食事 ヴァルメス・エッセン (Warmes Essen)
朝ご飯も夜ご飯も火を通さない食事と考えると、なんだか体が冷えそうですよね。
大丈夫ちゃんと暖かい食事もありますよ!
暖かい:Warm で
Warmes Essen ヴァルメス・エッセン
と呼ばれます。
伝統的にはお昼にこのヴァルメスエッセンはお昼に食べることが多いらしいのですが、人によっては3食ともカルテスエッセンで、ヴァルメスエッセンは数日に一回という人も・・・。
私たち日本人の食文化とは全く違いますね。
カルテス・エッセンの舞台裏
ドイツにも火を使う家庭料理はたくさんあります。
ジャガイモ料理に至っては1000種類以上もあるとか。
家庭料理の種類も豊富にあるのに、なぜ冷たい食事ばかりなのでしょうか?
それにはもちろん理由があります。
産業革命の副産物
カルテス・エッセンの始まりは遡ること約100年前。
1920年頃の産業化の影響といわれています。
それまでは農業・畜産業が主で、昼食は家に帰って家族で暖かい食事を囲むというのが一般的だったのですが、産業化に伴い、農村から街に出て工場で働く人が増え、それに伴い工場では社員食堂を用意して暖かい昼食を提供するようになったとか。
街から夕方家に戻ると、食事をつくる元気もなく・・・というのが一つ目の理由。
人口増加に伴う食糧難
1920年頃は人口も増加傾向にあり、政府は国民にいきわたらせるために安価な食料を調達する必要がありました。それまでのドイツパン(全粒粉)は貧乏人の食べ物といわれていましたが、ナチスの政策を通して安価な全粒粉パンが一気に広まり、いまではドイツパンとして日本でも人気になっています。
安く手に入り調理の必要もない、ということで夕食はパンという文化が根付いていったのだとおもいます。
なんとも合理的でドイツ人らしいなあと思います。
働き方が変化したから
農業従事から工場勤務にかわり、長時間労働とはいえ農業ほど体力を消耗しなかったことも一つの理由といえるでしょう。昼間にしっかり食堂で暖かい食事をとっていれば、夜は軽い食事でも問題なく過ごせたということです。
共働きが多い
こちらは現在にいたるまでですが、ドイツでは日本以上に共働きが多く、夕方帰宅してから食事の準備をするストレスと手間を省いた結果、というのも大きな理由でしょう。育児も加わってくるとさらに時間はなくなりますよね。カルテス・エッセンだと料理が苦手でも準備ができますし、手が空いている方が準備できるので効率がとてもいいのです。
それぞれのこだわり
現代では働き方も人それぞれ、もちろん好みもそれぞれで家庭によってもルーティーンが違ったりしますよね。
全員がカルテス・エッセンばかり食べているわけではなく、夕食は暖かいものを食べたいというドイツ人ももちろんいますし、毎日料理したい!という人もいます。
忙しい現代社会では、お昼に食べる時間がなくてサンドウィッチというドイツ人も少なくありません。
友人の家庭では祖父母と同居していたときは、週末の夕食はオーブンを使った肉料理や、手の込んだ鍋物を作って家族で暖かい食事をいただき、平日はその残りとカルテス・エッセンを食べていたそうです。
家庭や地域によって取り入れ方もそれぞれ。
ドイツ人の知り合いや友人がいたら、どのようにカルテス・エッセンを取り入れているか聞いてみるのも面白いかもしれませんね。
まとめ
いかがでしたか?
今回はドイツの食文化について紹介してみました。
日本でも共働きが増えてきていて、昔のようないわゆる1汁3菜というのはなかなか難しいですよね。
そんなときは是非カルテス・エッセンにビールもつけて、時短・お手軽にドイツの食文化を楽しんでみてはいかがでしょうか。