実は多言語国家のスペイン!高校や大学の教育制度や学費を解説。

こんにちは、NSKIです。

今回も前回に引き続き、スペインの教育制度について解説します。

前回の記事をまだ見ていない方はぜひ先に読んでみてください↓↓

今日は義務教育後のお話と地方言語に触れてみます。

高校は2年だけ

まず日本と大きく違うのは、高校入試がないことです。

中学4年生(スペインの中学校は4年間)になると、自分が進みたい分野を決めなくてはなりません。

科学・社会科学・芸術などのコースがあり、将来何になりたいかによって学校やコースを選択します。

看護師など専門的な分野に進みたい場合は、この限りではありません。

学校にもよりますが、2年かけて専門分野の知識を深めて大学入試に備えます。

日本より早い段階で漠然とはしていても、自分の将来を考えなくてはならないこのシステム。

入試がないのでやりたいことが選択できる反面、途中で進路変更が難しいので親子でよく話し合う必要があります。

学費は格安

スペインの大学は4年(または6年)制です。

それ以外は専門学校という括りなので、「カレッジ」のような短期大学はありません。

初めての「入試」

大学進学を希望する学生(高校生)は、各州で6月~7月に行われる「セレクティビダ」と呼ばれる入学資格試験を受けます。

スペインでは17ある自治州で教育も含めてある程度の自由が認められているため、試験の日も州によって異なります。

この試験結果と高校2年間の成績を総合的に評価したものが、「大学入学資格」です。

スペインでは高得点の学生から順に、自分が希望する大学の学部に入学する権利を得ます

年間の学費

フィンランドやデンマークなどの北欧諸国では大学の授業料は無料ですが、スペインの大学は授業料が発生します

とは言っても、日本の大学に比べたら格安です。

大学、学部によっても異なりますが、公立の大学なら入学金を合わせても年間900ユーロ~1.600ユーロ(約12万7千円~約22万6千円)です。

スペインで最も年間の授業料が高いのは、バルセロナを州都とするカタルーニャ州、続いて首都のマドリードとなります。

逆に、南部アンダルシア地方はどの大学も授業料は低く設定されています。

学生の夏休み

日本の大学生の夏休みは2か月近くあって非常に長いですが、スペインも負けていません。

5月末~6月初めに年度末の試験が終わると、夏季休暇の始まりです。

新学期スタートは9月上旬~中旬と州によって異なりますが、クリスマス休暇やイースター休暇を合わせると、1年で4か月ほどの休みがあります。

授業料が安いから文句は言えませんが、こんなに休みがあるといつ勉強するのか疑問ですね(笑)。

留学生コース

講義は基本的にスペイン語で行われるため、日本からスペインの大学に留学しようとするとスペイン語がかなりできないと厳しいです。

また高校の卒業証明書が必要なため、手続きにも時間を要します。

大きな大学では留学生コースという課を設けているところもあって、世界各地から留学生が集まっています。

語学以外にスペイン文化や歴史などの授業があり、教授も言葉を選んで講義を行ってくれるため比較的理解しやすい内容です。

ただ当然ですが周りは外国人なので、現地の人と知り合うチャンスは少ないです。

サラマンカ大学の図書室

スペイン語以外のことば

マドリードの多くの学校ではバイリンガル教育が行われています。

これは私立の学校の話でなく、公立の学校も同様です。

叫ばれる英語教育

1980年代後半頃までのスペインは、いわゆる「第2外国語」としてフランス語を扱っていました。

それが1990年を過ぎた頃から徐々に英語が主流となり、フランス語は選択科目になりました。

コンセルタードと呼ばれる半私立の学校(前回の記事を参考にしてください)の多くは、ネイティブの英語教師を採用しており「生きた英語教育」に幼稚部の頃から力を入れています。

負けていない地方言語

自治州の中には、その州独自の言語で教育を行っているところもあります

バルセロナを州都に置くカタルーニャ地方や、グルメの街として世界中に知られるサンセバスティアンのあるバスク地方、ポルトガルと国境を接するガリシア地方などは古くから公用語としての「スペイン語」とは別に、その地方独自の言葉が存在します。

銀行や役所の公用書類、学校の教科書などはこの「地方言語」で書かれています(公用書類に関しては表面に「地方言語」、裏面に「スペイン語」で同じ内容の文書が記されています)。

「地方言語」によるテレビ番組もあって、ローカルニュースはそちらの方が詳しいです。

ドラえもんも、同じスペイン国内なのに放送される地域によって違う言葉で喋っていることもありますよ。

幼少期から2つの言語で学校教育が行われるため、得意不得意は別として「地方言語」が存在する地域に住む子供達はどちらの言葉も自由に操るようにあります。

どんな形であれ、幼少期から多言語で育つのはやはりヨーロッパで生活するメリットでしょうね。

まとめ

ここでご紹介した内容は、スペインの一般的な教育システムです。

ご家族での移住を考えていらっしゃる方、スペインへの留学を検討されている方の参考になれば幸いです。

 

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