海外移住する際に住民票はそのまま残すべきか?それとも抜くべきか?「非居住者」の6つのメリットと3つのデメリット。

これから海外移住を検討している方は、色々と悩むことが多いと思います。

どこの国が自分にとって住みやすいのか?

ビザや永住権は取れるのか?

現地でどういった仕事をするのか?

住居はどうするのか?

・・・

こんな感じで大きな項目でみても選択肢が数多くありますが、さらに手続き面や税制面(法的な側面)などのことも併せて考えなければなりません。

今回はその中でも悩む方が多い「住民票を残すべきか抜くべきか?」というテーマに絞って解説したいと思います。

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「住民票を抜く=非居住者」という扱いになりますが、実際には183日ルールという制度があり、手続き上は住民票を抜いて非居住者になっても現地に住んでいる日数や所得をどこから得ているかなど総合的に判断されて納税の有無が変わったりします。
日本企業に勤めていて会社の辞令で海外赴任する予定の方は、基本的に会社の指示や方針に従えば特に自分自身で複雑なことを考える必要はないかもしれません。
※当サイトではどちらかというと自分で起業して海外移住しようと思っている方やフリーランス(ノマドワーカー)の方、投資家として海外生活を検討している方に向けて情報を発信していきます。

海外移住の際に住民票を抜く(非居住者になる)6つのメリット

住民票を抜いて非居住者になるメリットの多くは税制面に関したものです。

年金や健康保険などに関しては捉え方次第でメリットにもなりますが、デメリットにもなります。

ここでは海外移住の際に住民票を抜くメリットを6つほどご紹介します。

所得税

住民票を抜いて海外に住めば基本的に日本で所得税を納める必要はありません。

企業に勤めている方は普段は給与から自動で所得税などが天引きされていてあまり意識していないかもしれませんが、日本の所得税は累進課税なので高所得の人はかなりの金額を支払っています。

海外移住先の国が所得税が非常に安い場合や0の場合は非居住者になることで大きな節税をすることが可能です。

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住民票を抜いて海外で暮らしていても日本国内で発生した「国内源泉所得」がある場合は日本のルールに従って日本に納税する義務がありますので注意してください!

住民税

住民税は所得税とセットのイメージがありますが、住民税は所得に関わらず一律10%が基本です。(非課税世帯に認定されれば住民税は0)

住民税は前年度の所得によって計算されますが、毎年1月1日時点で住民票がある市区町村から課税される仕組みのため、1月1日時点で日本に住所がなければ新しい年度からは住民税を支払う必要はなくなります。

→年度の途中(例えば1月2日であっても)に住民票を抜いて海外移住してもその年の住民税は発生することになります。

相続税

富裕層が相続税を回避するために海外移住を選択するというのはよく聞く話です。

実際に海外移住することで相続税を合法的に回避できる場合がありますが、いくつか条件を満たす必要があります。

海外移住における相続税のポイントをいくつか記載します。

・相続する財産が海外資産に該当している必要がある

・海外移住しても日本国内の財産は日本の相続税の対象になる

・海外移住しても10年間は海外資産も課税対象になる

・海外資産が移住先の国で課税される場合がある

他にも細かいルールがありますが、安易に海外移住して相続税を回避しようと思うとリスクが高いと思われます。

相続税を回避するためには?

ルールを読んだうえで合法的に相続税を回避するには最低でも以下の2点が必要かと思います。

①被相続人・相続人両方が相続が開始する10年前から海外移住をしておく必要がある

②日本国内の財産を海外に移転させる(外資系銀行に預金を移動させても受け入れした支店が日本であれば国内財産になる)

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相続税に限らず税金関連の法律などは都度更新される場合があるため、実際に節税を考えている方は最新の情報を確認してください。個人ですべて判断せずに税務署や税理士に相談するのが一番安心できると思います!

贈与税

贈与税は日本では財産をもらった人が申告する制度ですが、贈与した人が申告するものだと思っている人もいますので注意しましょう。

贈与する人が海外移住しても贈与される側が日本国内に住んでいれば、海外の財産を贈与したとしても節税にはなりません。

→海外移住をすることでメリットがあるのは、贈与する人も贈与される人も海外移住をしている場合のみと考えた方が無難かもしれません。

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日本国内に住んでいても年間110万円までなら贈与税が免除されているため、富裕層以外は海外移住による贈与税のメリットはあまり関係ないかもしれません。

国民年金

住民税を抜いて非居住者になれば毎月支払っている国民年金を支払う義務はなくなります。

もちろん、海外移住した後に国民年金を支払う必要はありませんが、累計でどれだけ国民年金を支払うかで将来の受給額が決まる仕組みのため、支払っていない期間の分の受給額は減ってしまいます。

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将来の老後のために海外生活をしながらでも任意で日本の国民年金に加入することはできますので心配な方は検討しておきましょう。

国民健康保険

国民年金と同様に海外に移住して非居住者になれば国民健康保険の支払いもなくなります。

とはいえ、もし大きな病気や怪我をしたときのためにも現地では何かしらの保険に入っておく必要があります。

日本の保険と海外の保険の支払いを比較してどちらが金額的に安く済むかは移住する国や保険の種類によって異なりますので、移住先の保険について詳しく調べておきましょう。

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国民年金と同様に非居住者になっても任意で日本の国民健康保険に加入して毎月支払いを続けることもできます。

※帰国時のみ一時的に加入するという裏技も使える場合もあると聞いています。

海外移住の際に住民票を抜く(非居住者になる)3つのデメリット

住民票を抜いて非居住者になるデメリットは上記したメリットと相反する関係のため、基本的には逆を考えてもらえれば理解しやすいです。

税制面の点では基本的には非居住者になった方がお得な部分が多いように思えますが、その他の観点でデメリットになる要素がいくつか存在します。

ここでは3つほどデメリットをご紹介します。

日本の銀行口座の解約

日本人の多くは日本の銀行を複数持っていることが一般的です。

海外に移住しても日本の銀行口座を従来通り使えると思っている方もいますが、住民票を抜いて非居住者になった場合は基本的には解約する必要があります。

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しかし一定の条件を満たすことで口座を維持できる場合もありますので、自身の持っている銀行がどういう規約になっているのか一度公式HP等で確認してみてください。
例えば三菱東京UFJ銀行や三井住友銀行、みずほ銀行、りそな銀行、ゆうちょ銀行、ソニー銀行などは一定の条件を満たした場合や、一部利用制限される形で口座を維持することが可能となっています。
※海外移住しながら日本口座を維持できた場合もいくつかのデメリットを伴う場合があります。(一例)
・月額費用がかかる
・現地での納税義務が生じる
・送金手数料が外国送金扱いになり高くなる
・二重課税になるリスクがある
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もちろん、海外生活をしながら日本の銀行口座を保有するメリットも複数あるため、各銀行におけるデメリットと比較しながら保有するのか解約するのかを決めてみてください。

給付金などの支援が受けられない

新型コロナウィルスの影響で日本政府が日本国内に居住する人(住民票がある人)を対象に一律10万円を給付したり、企業に持続化給付金や事業復活支援金という形で数百万円支援したりしています。

他にも様々な支援金や補助金、助成金などが存在しますが、日本国籍でありながらも海外に移住した非居住者にはこれらの恩恵は基本的にはありません。

さらに、海外移住先においても国籍を判断基準にして支援策が打ち出されたりすることもあるため、非居住者は日本からも現地からも何も支援されない状況になる場合があります。

※帰化して国籍を変えている人や現地の人と結婚して移住している人はまた別の扱いになることが多いです。

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現状でもまだまだ新型コロナウィルスの収束はしているとは言えませんし、サル痘などの新しい感染症なども登場していることから、何かあったときに支援が受けられる体制にしておきたい人にとっては住民票を抜いて非居住者になるのは少し勇気がいるかもしれません。

二重課税のリスクと脱税のリスク

暴騰で少し述べましたが、海外移住して非居住者になって完全に現地のルールに従って生活しているつもりでも、1年の半分程度は日本に戻って生活したり別の国で生活する人もいます。

世界では183日ルールという基準があるため、1年のうち183日以上生活している場所がその人の生活の拠点と認識されます。

しかし、実際に183日間以上住んでいても仕事の実態や、日本国内に残している資産や収入源、家族の生活拠点など複合的な要素からどこに納税すべきかの判断が下されます。

海外移住してほぼその現地で仕事もして生活もして・・・みたいなスタイルだと問題ありませんが、中途半端な生活状況だと、複数の国から納税義務を言い渡されたり、場合によっては脱税行為とみなされる場合もあります。

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特に、節税の意味合いが強く海外移住を検討している人は国際的な税務に詳しい税理士や専門家などにまず相談することをオススメします!

まとめ

海外移住するにあたって住民票を抜いて非居住者になるべきか、住民票をそのまま残しておくべきかについてメリットもデメリットも細かくご紹介しました。

どこの国に移住するのか、何を目的として海外移住をするのか、企業の命令で海外赴任するのか、フリーランスや起業家、投資家として海外移住をするのか、貯蓄はどれくらいあるのか、等それぞれの状況によって適切な選択は異なります。

まずは非居住者になるメリットとデメリットを正確に理解して現地に行ってから税金や保険などのことで困らないように事前に準備してから海外移住するようにしてください。

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