皆さんこんにちは、NSKIです。
「海外移住」と一口に言ってもいろいろありますね。
観光ビザだけで滞在できる短期滞在から、何年にも渡って住み続ける長期滞在。
自分だけならまだしも、家族を伴っての海外生活は様々な疑問や問題にぶつかります。
そこで今日はスペインの学校制度についてご紹介したいと思います。
スペインの義務教育期間
スペインでは日本同様6歳になると小学校に入学します。
小学部の6年間と中学部の4年間(そうなんです、スペインでは中学校は4年生まであります)が義務教育期間です。
ただ日本でもそうですが、99%の子供が小学生になる前の3年間幼稚園に通います。
1学年は、同じ年の1月1日生まれの子供から12月31日生まれの子供で構成されます(つまり全員の誕生日の西暦が同じ年)。
新学期は9月から
新学期は9月なので、学校が始まった時すでに6歳の子とまだ5歳の子がいて、年齢が低いほど体の成長や体力の差が目に見えてわかります。
入学式や卒業式はある?
ちなみに入学式や卒業式のような行事はありません。
夏休みが終わるとある日いきなり学校が始まります。
幼稚園も同様で、何の前触れもなく幼稚園生活がスタートです。
子供からすると、突然知らない場所に連れて行かれ、知らない大人やたくさんの知らない子供の中に放り出されるので不安から大泣きする子も続出です。
3歳児クラスの中には当然まだ2歳の子も交じっていて、言葉がきちんと話せない子もたくさんいます。
それでもハロウィンの頃にはみんな馴染んでいるから不思議ですよ。
バリエーション豊富な学校選択
スペインの学校は大きく分けて3種類あります。
①パブリック(公立)、②プライベート(私立)、そしてスペイン独特の③コンセルタード(半官半民制度)の学校です。
どの学校も幼稚部と小学部はセットで、同じ敷地内に9学年分のクラスが入った建物が建っています。
子供が幼稚園に通う年齢になると(日本でいう幼稚園の年少)、学校選び開始です。
スペインでは住んでいる地域にいくつか学校があるので、その中から希望する学校を選びます。
日本のように住所によって通う学校が決まっている訳ではありません。
学校は第5志望まで考える必要あり
どこの学校も枠が決まっているので、人気のある学校は倍率が高いです。
そこで第1希望から第5希望ぐらいまでを紙に書いて、第1希望の学校に提出します。
当然人気のある学校が定員オーバーで、第2、第3希望の学校に回されてしまうこともあります。
でも兄弟別々の学校では親の負担が大きいので、上にお兄ちゃんお姉ちゃんがいる子供は兄姉と同じ学校に通えるよう配慮されています。
けれどせっかく苦労して入っても、校風が合わなければもちろん転校することも可能です。
学期半ばでの編入は、空きのある学校なら基本的にどこでも受け入れてくれます。
①パブリックスクール
言わずと知れた公立の学校で、日本同様授業料も教科書も全て国や州政府が保証してくれます。
多少の差はありますが、幼稚園・小学校は9:00~12:30で、昼休みを挟んで15:00~16:30が授業時間です。
「昼休みがかなり長くない?」と思いますよね。
これは午前の部が終わった後、家に戻って昼食をとる子供のために長くとってあります。
もちろん家に誰もいない場合は学校で給食を食べることができますが、その場合給食費は個人負担です。
中学校は2回休憩を挟んで8:00~14:30まで授業です。
昼食は家に帰ってからなので、15:00過ぎになります。
当然お腹が減るので、サンドイッチを持って行って休み時間に食べるのが普通です。
②プライベートスクール
一般的にアメリカ系やイギリス系のイングリッシュスクール、あるいはフレンチスクール、ジャーマンスクールを指します。
両親のどちらか(もしくはどちらも)が英語圏の人やフランス人、ドイツ人の場合、子供を通わせることが多いです。
金銭的に余裕のある家庭や、(スペイン語を話さない)他の国から越してきて間もない家庭も(英語ならわかる場合が多いことから)、こういったプライベートスクールを選ぶ場合があります。
ただし月謝は高額で、毎月少なくとも650ユーロ以上(9万円以上)かかります。
別途で教科書代、教材費、給食費も徴収されるため、かなりゆとりのある家庭しか通わせることができません。
世界各地にある日本人学校も分類としてはこちらです。
スペインにはマドリードとバルセロナに日本人学校があって、日本政府から派遣された先生方がいらっしゃいます。
③コンセルタード(半官半民)
あまり聞きなれないシステムの学校ですが、スペインではパブリックスクールと同じ数ぐらい存在します。
半分公立、半分私立という立場なので、政府からの援助半分+月々一定額の学費で成り立っています。
半分私立なので、「学長」が存在します。
特色ある学校も多く、公立より勉強に力を入れているところが多いです。
月々の月謝は50ユーロ~150ユーロ(7.000円~21.000円)前後と幅があります。
公立と違い、教科書は自己負担です(これがまた400ユーロ=55.000円前後かかります)。
また学校が使う教科書を選べるので、毎年教科書を変えて兄弟で使い回しできないようにする場合も多いです。
宗教色の強い学校などは制服もあります(ついでにお布施も。これは月謝とは別に自動的に引き落とされるそうです)。
授業時間は公立と比べ、小学校・中学校とも週5時間ずつ多いです(日本ではあり得ないことですね)。
幼稚部・小学部・中学部、そして場合によっては高等部が1つの敷地内にあります。
公立だと小学校から中学校にあがる時、再度学校探しをする必要がありますが、コンセルタードの場合は本人が学校を移りたいと言わない限りエスカレーター式に上に進めます。
ただし高等部は義務教育ではないため、一定の成績がないとそのまま進むことはできません。
まとめ
更に日本と大きく違うのが義務教育でも「落第」が存在することです。
小学校高学年以上になると勉強も難しくなるため、担任が「このまま進級して更に理解できなくなるよりもう一度やり直した方がいい」と判断すると、リピートの対象になります。
一学年下の子たちと一緒になるのが嫌で、転校するケースも珍しくありません。
反対に非常に優秀な子供には「飛び級」のチャンスが与えられます。
トータルで見ると日本より自由で緩いスペインの学校システムですが、抑えるポイントはしっかりしておかないと痛い目に合うのもスペインです。
この次は、高校から大学について触れたいと思います。