こんにちは。
スペイン在住NSKIです。
前回はスペインのクリスマスについてお話しましたが、今回はスペインの年越しをご紹介します。
年越しメニュー
どこの国でも年末年始は普段食べないものが食卓に並びますが、スペインでも12月に入った頃からスーパーや市場で大量買いをする人が目立つようになります。
一年最後の晩餐
12月24日と25日は親戚一同集まっての食事会。
その余韻がまだ残る12月31日は、夜8時半過ぎからまた全員集合です。
クリスマスにチキンやターキーを食べる家庭が多いので、被らないようこの日のメニューは仔羊や子豚のオーブン焼き、シーフードの盛り合わせなどが選ばれます。
普段肉屋であまりお目にかからない子豚は下味をつけてオーブンでじっくり焼くと、こんがりきつね色になって、皮はパリパリ。
肉はとっても柔らかくてジューシーです。
同じようにたっぷりのスパイスをかけて長時間ローストした仔羊も、人気メニューの一つです。
クリスマスが肉ばかりだったから味を変えたい、という家庭はタイやスズキをハーブと合わせてオーブンで焼きます(大人数だからオーブン焼きが一番楽ですね)。
シーフードグリルも人気です。
エビやイカはもちろんのこと、マテ貝、ムール貝、アサリなどがあります。
幻のペルセベス
ペルセベスとは、日本語ではエボシ貝またはカメのテと呼ばれ、スペイン高級食材の一つに指定されています。
激しく波が打ち付ける岩場に生息する甲殻類で、日本でもごく限られた地域に生息しているそうです。
スペインではポルトガルの北に位置するガリシア地方が有名で、日本のテレビ番組で取り上げられたこともあります。
ペルセベスは一年中捕獲できますが、危険を伴う手作業のため高値がつけられています。
また悪天候で漁に出られないこともあるので、市場でなかなかお目にかかることのできない珍味です。
そんなことからペルセベスは1キロあたり100ユーロ前後で取引されます(約14.000円)。
ところがクリスマス前は魚介類が飛ぶように売れるため、ペルセベスの値段は150ユーロ/キロ(約21.000円)以上にまで跳ね上がります。
ペルセベスってどんな味?
カメのテ、という異名をもつことからも想像できると思いますが、見た目はかなりグロテスク。
「こんなの食べるの?」と最初はしり込みする人が多いです。
でもそんな見た目とは裏腹に、塩ゆでされたペルセベスはコリコリとした食感と磯の香りが漂う、他の貝とは一線を画した食材です。
前歯でガリっと身の部分を引きはがすのも、他の魚介にはない食べ方。
小さいだけに食べやすく、次から次へと手が伸びてしまいます。
一年の締めくくりはブドウとシャンパン
大晦日特別メニューの締めはブドウ。
スペインでは年越しにブドウを12粒食べて、新しい年への「願い事」をします。
毎年マドリードの中心にある大きな広場に面した時計台が、新年を迎える直前に12回鐘を鳴らします。
その鐘の音に合わせてブドウを1粒ずつ口に運びます。
でもそんな一気にどうやって?
と、聞かれますが大丈夫。
みんな夕食が終わると自分の食べるブドウの皮と種を取って準備しておきます。
更にブドウをあまり消費しない家のためにスーパーでは、皮も種もないブドウが12粒缶詰めになって売られています。
この時計台からのテレビ中継に合わせて、スペイン中の人がブドウを食べます。
想像すると何だか笑えませんか?
最後の一粒を食べる時に、新しい年の抱負を願います。
同時に周りにいる人とハグをして女性同士、もしくは男性と女性なら両頬にキス、男性同士なら握手して「¡Feliz año nuevo!」(新年おめでとう!)と笑顔で言い合います。
最後は用意しておいたシャンパンを開けて新年のお祝いです。
その後若者は街に繰り出したり誰かの家で明け方までパーティーを開いたりで、夜が明けるまで音楽が鳴り響いていることも珍しくありません。
まとめ
クリスマス習慣は食べて飲んで喋って、また食べて飲んで喋って…..
の繰り返しで、3キロ近く体重が増加する人もいるほどです!
1月6日は、スペイン版クリスマス「東方三賢人の日」(前回の投稿を参照してください)で、ここでまた一族で集います。
でもこれが本当に最後の食事会。
これが済むと会社も学校も通常通り、2週間の食生活を反省するかのように粗食に慎みますよ。